doga.png

富貴野山「宝蔵院」

富貴野山は松崎市街地の北東、天城の長九郎山と並んで、松崎・西伊豆両町の境界線近くにそびえる標高550mの山。山頂にある曹洞宗富貴野山宝蔵院は、大同3年()空海(弘法大師)が密教の霊場として開いた古刹で、当初は富貴野地蔵密院と称していた。室町時代には末寺88ヶ所を有する大霊場として栄えたが、その後はさびれてしまい、僧岩仲によって再興された。文亀年間(1501~04)、河津・普門院4世僧清安が真言宗から曹洞宗に改宗、この時から宝蔵院となったものである。今では本堂の磁石と傍堂を残すのみで、無住寺となっているため、ご本尊の聖観世音は白川の旧住職夫人宅に安置されているとか。
しかし境内には、樹令400年ぐらいと推定される南伊豆最大のスギ(周囲6.5m、高さ34m)、樹令150年のオオシマザクラなどがうっそうと生い茂り、参道を中心に180体余りの〝野の仏〟がズラリと並んでいる光景は珍しい。大日如来、薬師如来、阿弥陀如来、地蔵、観音、弘法大師など、いずれも苔むした石仏群の姿が何か侘しげに見え、ひたすら人の世の無情を大合唱しているかのようだ。「伊豆横道33観音」の第7番霊場にもなっている。